2月21日の診療で、針生後にショック状態になり死亡させてしまうという、あってはならない事故を起してしまいました。
まず始めにこの場を借りて再度亡くなられたわんちゃん、そして心に取り返しの付かない怒りと悲しみ、苦悩与えてしまったオーナーの御家族の皆様に、深くお詫び申し上げます。
内容は以下の通りです。
膀胱炎疑いの排尿異常を主訴に来院し、触診で下腹部の腫瘤を触知。
確認のため超音波検査による画像診断を実施。
膀胱後方の子宮断端と思われる部位に大きな嚢胞が見られたため、症状を起こしている原因と考え、吸引可能であれば減容積による症状の緩和、あるいは腫瘍の除外と細菌薬剤感受性試験を行うため、一般的な横臥位保定で針生検を行いました。
嚢胞の内容物は固く、ほとんど吸引できず。
わずかに採れたサンプルは無構造の有機物で、白血球は数個、細菌貪食像なし。
明らかな膿ではなく、子宮断端の蓄膿症の疑いは低いため、経過観察としてご帰宅いただきました。
しかし、帰宅直後から嘔吐と虚脱が認められ、再来院いただいたときの状況はショック症状を呈していました。
直にショック治療を施し、落ち着きそうになった矢先、急激にコントロールできなくなり24時間後に心肺停止となってしまいました。
途中、原因となった腹腔穿刺を再度行い微量の腹水を採取しましたが、出血ではなく、滲出液でした。この際は病態の変化は認められませんでした。
このことから、ショックの分類としては血液分布異常性ショックで、アナフィラキシーショックあるいは敗血症性ショックが挙げられます。
結論として考えられる病態は3つ。
1.吸引できない固さだが微量に漏出した嚢胞内容物に対するアナフィラキシーショック
2.培養前の顕微鏡では確認しきれなかった細菌による敗血症性ショック
3.針生検の刺激が引き金となった全身性炎症反応症候群
となります。
腫瘍、腹水、胸水、心嚢水、膀胱、リンパ節、消化管など、今まで様々なものを何百何千と針生検を行ってきましたが、このように死亡事故に至らしめた経験はありませんでした。
また、胆嚢や膀胱の破裂、重症子宮蓄膿症における子宮破裂による細菌腹膜炎など、さまざまな症例を診察してきましたが、細菌や胆汁に対する反応で一瞬でショック症状にいたり、24時間でなくなった症例も経験ありませんでした。
今回は通常どおり行ったつもりでしたが、そこに今まで何も起きなかったことが油断になっていなかったかというと、完全に否定することはできません。
もぐ動物病院としては全身性炎症反応症候群を疑い、2度と同じ過ちを繰り返さないように院内のガイドラインを策定し、採尿時の膀胱穿刺と内臓器の腫瘍の針生検以外の腹腔内の嚢胞状構造物を精査する際は、腎臓や肝臓、胆嚢穿刺同様に全身麻酔下で安全性を高めて行くことを決定いたしました。
少しでも多くの動物とオーナーの皆様の役に立てるように日々取り組んでまいりましたが、このような事態を引き起こしてしまいました。
今回、当院が処置を行った事と死亡の因果関係は明らかであり、他に議論の余地はありません。
わんちゃんと御家族の皆様に
改めてお詫び申し上げます。
本当に申し訳有りませんでした。
もぐ動物病院
住所:東京都 日野市 百草 204-1
ガーデンビュー石神D1F
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