若くても抜歯!Odontogenic Periorbital Cutaneous Fistulae!

query_builder 2026/08/26
診療 症例
若くても抜歯!Odontogenic Periorbital Cutaneous Fistulae!

今日はちょっとレアな歯科症例。


ほっぺに穴が開いた2歳のマルチーズ君。


一度歯を疑って奥歯を抜歯したそうですが、

1か月以上たっても治らないとのことで来院しました。


IMG_0799

来院少し前に悪化してしまったようですが、

悪化したというわけではなく皮膚がただれて腫れている様子。


それでもよく観察してみると、

穴から持続的に排膿していることが分かります。

IMG_0803

膿が出ているようですが、

細菌感染主体ではない雰囲気。


少し前に他の動物病院で1本抜歯した?とのことですが、

まったく良くならないそうです…。



第一印象としての当院での診断は、

'Odontogenic Periorbital Cutaneous Fistulae'


年間でもあまり遭遇しない歯科疾患で、

直訳すると「歯原性眼窩周囲皮膚瘻孔」


Odontogenic 歯原性

Periorbital 眼周囲

Cutaneous 皮膚

Fistulae 瘻孔


日本で統一された診断名あるいは症状名はあるのかどうか?


さて、初診ではまず皮膚の状態を改善するために、

1週間抗菌薬を処方しました。

IMG_0989

1週間後の再診、

思った通り穴は全く塞がる気配はありません。


そこで原因と病状把握し、診断に向かうめ、

レントゲンではなく麻酔科でCT検査を実施しました。

スクリーンショット (7)

すると、頬の骨が破壊されて吸収されているのが、

明瞭に分かります。


正常な左側とは違って、

右は皮膚に向かって瘻孔を形成ている雰囲気がつかめます。

スクリーンショット (22)

つまりこの歯の歯根の炎症が原因と推測できますので、

そのまま抜歯治療へ進みます。

スクリーンショット (23)

外観上は骨が溶けているなどとは全くわからないので、

身体検査では診断困難。

CT検査が非常に有効な検査となります。


レントゲンも悪くはありませんが2次元では評価が難しいので、

個人的には断層でチェックできるCTが好みです。


この症例は抜歯のみを行い、

瘻管の切除はしませんでした。

オーナーさんのお財布で行う細胞レベルの診断には興味ないので、

病理検査もナシ。



再診の指示は出さなかったので久しぶり再会となりましたが、

抜歯2か月後の様子がこちら。

IMG_4374

すっかり毛も生えて、

半年ぶりにかわいいお顔に戻りました!



歯原性眼窩周囲皮膚瘻孔は人の歯医者さんでは「外歯瘻」というのが同じような病態で、

こちらもなじみはありませんが、

感染後に細菌が消えて、炎症のみが残って骨破壊性炎症に発展してしまうという展開です。


そのため細菌が本質ではないので、

いくら抗菌薬を続けても治りません。


また、今回のようにせっかく抜歯しても、

原因となっている歯でない限り治らないという…。

動物歯科は結局抜歯とはいえ、なかなかやっかいな歯科疾患です。


一応、治療しないでそのままにしていても大きな問題にはなりませんが、

いつまでも分泌物で頬がベトベト汚れます。



ちなみに5年以上放置しているワンちゃんはこんな感じです。

IMG_1067

痛い病気ではないので問題はありせんが、

やはりいつまでたっても塞がらずに排膿が続きます。

汚れる以外は何も起きません。



さらに比較として根尖膿瘍という同じような頬の出血症例ですが、

こちらは細菌感染メインの病態なので抗菌薬で治ります。

IMG_1683

抗菌薬2週間程度できれいに穴は塞がります。

IMG_2553

再発防止に抜歯もよいですが、

シニア犬が殆どですので全身麻酔のリスクを考え、

こちらは内科で治しながらごまかしていく選択をされるオーナ様が当院では大多数です。

何度穴あいても必ず塞がるので、それで良しとしています。



歯原性眼窩周囲皮膚瘻孔はたいてい若齢犬なので、

元気なうちに治療しましょう!

たぶん塞がりませんので!

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もぐ動物病院

住所:東京都 日野市 百草 204-1

ガーデンビュー石神D1F

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