すごいなラゲブリオ!FIP治療に光明!?

2023/05/23 症例

明け方急に痙攣発作を起こして動けなくなったマンチカンちゃん。

救急病院からの転院で、もぐ動物病院の救急へ!?

黄色い腹水、高グロブリン血症、炎症マーカーの上昇。

そして神経症状。

 

このパターンは典型的な「猫伝染性腹膜炎」

いわゆる「FIP」のウエットタイプ!

 

救急病院で治療はできないと言われて困った末、

どうしたものかと当院にたどり着いた次第。

 

いずれにせよ、まずは発作と意識障害、低血糖!

これを治療すればとりあえず何とか1度は復活するはず!

 

ということで2日程対症療法したところ、

スポイトで水や流動食を飲み込めるようになりました。

 

そしてここから投薬を開始したのがこの薬!​​​​​

「ラゲブリオ」

新型コロナウイルス治療に特例承認を受けて流通が始まったお薬。

昨年の一般流通開始時にFIPが来ると予想して準備してありました!

そして今回ついに日の目を見ることに!!

 

その効果は…
​​​​​​

御覧の通り、大復活!

 

もちろん現在は神経症状と低血糖治療の賜物ですが、

有効性の実感は10日で腹水が消えたこと。

つまり腹膜炎が落ち着いてきたということです!!

 

まだまだ炎症マーカーの数値は高いですが、抗体量を示唆するグロブリンも下がり一安心。

元気すぎるので、無事退院となりました!

あとは地道に気長に自宅で投薬です。

 

不治の病といわれていたFIPの治療が正規の医薬品を使用して治療できる可能性。

それが猫ちゃん獣医療にとって大きな革命になりそうです!

イギリスのISFMという団体では2021年から治療薬を使えるようになっていたようですが、ついに日本でも使える日がやってきました。

まだ副作用など分からないことが多いですが、日本国内でも症例が増えてくると、より信頼できる治療となりそうです。

 

そより何より国内承認の医薬品なので、安い薬ではありませんがペット保険適応できます!

仕方なくすがっていた、あやしい高額ぼったくりサイトなどから大切な飼主様を守れることも嬉しいです!

病院の価格設定や体重によりますが、保険無しでも最低半分以下くらいにはなります。

 

ということで、全国の動物病院が待ってたラゲブリオの一報でした。

特別な動物病院ではなく、良い治療は皆が受けられないとですね!!